人間の頭がちょっとだけ(耳の上くらいから)はみ出る深さのドラム缶を用意し、上から入る。ドラム缶の前方部分、人間の口にあたる箇所には穴が空いており、そこに金属製の管を斜め上から傾斜をつけて通す。管はそのまま人間が大口を開けて咥えることになる。この状態でコンクリートをドラム缶すりきり一杯まで流し込むとする。コンクリートが固まれば人間は身動きが取れないが、咥えている金属の管を通して呼吸はできるといった塩梅だ。
コンクリートが十分に固まったら、採石場などから細かい小石を大量に用意する。そしてドラム缶に刺さっている管の入り口から小石を流し込む。流し込む先はもちろんドラム缶に固定された人間の体内だ。大量の小石が人体に素直に入っていくとは思えないので、なんらかのポンプ、または小石を押し出す装置を使用しドンドン流し込んでいく。
小石の群ははじめは人体の構造に従って喉、胃、腸などの経路を破壊しながら進んでいくが、やがて経路を埋め尽くすとその他あらゆる人体の部位が小石のミキサーによってシェイクされていくだろう。かつて人間であったものは、人間の形をした器の中で血肉のジュースとしてぎゅりぎゅりと流動する。
十分にシェイクが進んだと判断したところで、小石を送り出す装置の出力を最大にしよう。逃げ場のなくなった圧力はやがて口の上、頭部へと侵入を果たし、破壊の水位を上げながら、やがてコンクリートに覆われていない頭頂部へと至る。そのとき私が赤黒い汚汁として潮吹きのように吹き上がることになるのか、マグマのごとくドロドロと周囲に溢れ出るのかは、やってみないと分からないだろう。
私は噴水になりたい。