死んだ土地や建物に取り憑き成仏しない霊を地縛霊と呼ぶ。
縛られるのは良いが、それがなぜ”地”なのだろう。車に轢かれた霊は車に取り憑いても良いだろうし、刺殺されれば刺された刃物や刺した人物に取り憑いても不思議ではない。なぜモノではなく土地に残されてしまうのか。
自分が死んだことに気づいていない、というケースでは土地に縛られるという話にやや説得力がある。死んだつもりがないから、ただそこに居続けてしまうのだ。なるほど。しかしでは、帰宅途中で命を落とした場合はどうなるのだろう。そのまま魂が帰宅してしまうのであれば、地縛霊にはならないということだろうか。
デスクワークで仕事をしている最中や、喫煙所でタバコを吸っている最中に死ぬことで晴れて動き回ることのない本来の地縛霊になれるということだろうか。
現実的にはあり得ないが、例えば高度1万メートルの上空を、音速で移動しながら死亡した人(Aさんとしよう)がいたとする。この場合Aさんの霊ははたしてどうなるのか。
可能性をいくつか考えてみよう。
1. 死亡後、遺体はいずれ地面または水面に落ちる。そこがAさんの地縛ポイントとなる
2. 死亡した瞬間の位置・高度が地縛ポイントとなる
3. 高度1万メートル上空を音速で飛び続ける霊になる
死んだことに気づいていない説に基づけば、3が有力ではないかと感じる。空縛霊。除霊は非常に難しそうだ。
ややこしいことを考えればキリがない。地球の自転・公転を考慮したり、宇宙空間や他の惑星で死亡するケースだったり。
脳死した人の霊が死んだことに気づかないのであれば、取り憑く先はやはり自分の体? 正しい肉体に正しい魂が宿っている、命だけが失われてしまった人。
細胞が生きているならば、新陳代謝が起こるたびに大量の魂が散逸している?
乳酸菌の地縛先はやっぱり腸?
疑問は尽きない。地縛霊になってみれば色々分かることがあるのかもしれない。